ジョン万次郎ー海を渡ったサムライ魂ー

先日読み切った本。

ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂

ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂

ジョン万次郎は言わずもがな、有名な幕末の日本人のひとりですが、今回は作者がアメリカ人の方。
それを金原瑞人さんが訳した、とのことで、以前衝動買いしたものでした。

中身は淡々としているのだけれど、良かった!!
しっとり・・・とはまた違う、淡々とした良さでした。

日本人が書くのとは、焦点を当てる部分が全く異なる気がしました。
アメリカでの生活のこと、舟での生活のこと。そのへんがメインって、あんまりないんじゃないかな。
書くにしても、やっぱり、日本に帰ってからの活躍をぐわっと書くものが多いんじゃないかなあ、と思う。

この本はその日本に帰ってからはほとんどなくて。
それまでのアメリカの日々が大きい。

もちろんフィクションの部分もあるのですが、大半は史実に基づいていて、手紙なんかの資料まで残っているそうです。
そういうのを、今まで知らなかったのは、惜しいなあとつくづく。
そして、そういうところを知れたのが、楽しかった理由のひとつやも。
なんだかね、万次郎がいきいきしているんですよ。

フィクション部分もすっごくいい味出してました。
史実に基づいた部分に、ちょっと混ぜてあるこのフィクションは、小説、として読むにはかかせないスパイスだったような気がします。


そういうアメリカ人視点で書きながら、でも小説は万次郎の視線で進んでいく、というのもまた面白さのひとつかなあ、と。

幕末の人ですから、やっぱり見慣れない別人種のことを毛むくじゃらだ、足をぷらぷらさせて椅子に座るのは変だ、何だと書いているのですが、それを日本人じゃなくて、当のアメリカ人が書いているってのは、やっぱりくすり、とする要素でもあると思うし、すごいなあ、って思う要素でもある気がする。


史実に忠実だけれど、歴史小説!!って感じで堅苦しいことなんて全然ない。
児童文庫としても読めると思うってぐらいに、軽い、読みやすい、そして楽しい。



そんな一冊。



野火でした。



授業の内容も楽しいから更新したいのに全然追いつかない・・・。