死神の精度

実は模試のそこそこ前に読み終わりました。

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

伊坂さんの本を買っちゃいけないな、と痛感しました。

前回買ったのは、試験の最終日の後で。
つまりは家で本読むの禁止というルールを課している(去年までの反動で最近はちょいちょい破り気味ですが)私としては、前回のかすてぃらも早かったとはいえ、そこそこ持ったし、なぎさホテルは一ヶ月ぐらい持ったし・・・と思って買ったのですが。

2日で読みきりました。

つまりは月曜日は代休だったので、火曜日から読んだのですが、水曜の午後には読みきったという。

こう・・・伊坂さんの・・・続き読みたい!!・・・みたいな・・・感じに負けて・・・休憩をフルに使ったら・・・ええ。

連載作だったので結構な短い一話完結型だったので大丈夫だろうと思っていたのに、いたのに・・・。

実は昨日模試だったのに何やってるんだ、って話です。
休憩をフルに勉強に当てろ、受験生、って話です。

一時伊坂さんブームが来て、お年玉を伊坂さん作品と参考書に使って金欠になった時は、断ち切るいいチャンス、とか思ったので、しばらく読んでなかったのですが、ふと読みたくなって大丈夫だろう、とか思ったのがいけなかったですね。
また別の伊坂さん作品見たくなりました。
SOSの猿を狙おうだなんてとんでもなかったな、と。
狙いたいんですけど。
上下巻のモダンタイムズ狙わないだけ許してください。


内容としてはとてもシンプルだったけれど、読みやすかったです。
今回はそんな悪人を裁くか否かみたいな感じではなかったので、一般受けはこっちのがいいのかな、と。

神様達は実はサラリーマンみたいに部署に別れてて。
死神たちはその末端で、神様の部署が、どういう基準で決めてるのかは知らないけれど、この人は死ぬ・・・となった人を7日間調査するのが、死神の部署で。
外界に降りて7日間調査して「可」か「見送り」を判断する、という。
そのひとりの死神さんのお話でした。

自殺だとか、病気だとか、天災はその対象ではないんだ、ってあたりが、伊坂さんだなあ、と思いつつ。

死神さん、と表記するのが変なくらいクールな死神でした。
そしてその調査の時に晴天を見たことがないという伊作も真っ青な雨男。
愛するのはミュージックで、最も嫌うのは渋滞。

そして死神だから、人間の(というか日本の?)言い回しに真面目に返すあたりがなるほどなあ、と。
雨男がいつでも雨を降らせる人なら雪男はいつでも雪なのか、とか。
これはまずい状況だ、と言ったら状況に味などあるのか、とか。
言われてみれば確かに・・・と。

死神、って設定もあって、死が付きまとう物語なのですが、それでも気持ち良く読めたのは、どこか前を向いて歩こうとする登場人物達ゆえなのだろうなあ、と。
最後の終わり方は圧巻でした。
さすが伊坂さん。

伊坂さんの話は、許せない人もいるんじゃないだろうか、と思うぐらい犯罪とかそういうのが付いて回るけれど、それを残酷なのが苦手な私が読めるのは、その終わりの爽快さにあると思う。


そして今回は無いと油断していたらあった、伊坂さんワールド。

伊坂さんは話の中に、脇役として別の作品のキャラクターを出すのがお好きなようで、それは読み手の楽しみでもあり、解説でもそのことには毎回触れてあるぐらいのもので、一種の謎解きのようなものなのですが。

今回は一本の作品で、あるホテルの退役軍人のような受付のおじいさんと、そのホテルの壁に赤いスプレーで落書きしている青年が出てて。
最初はそのまま素通りしたのですが。

後に何かの拍子にそういえば伊坂さんスプレー缶の落書きの話好きだよなあ、重力ピエロにも・・・・・・と、思ったあたりで。


エウレカ!!!(我発見せり!!!)


まさに、そんな気分。

重力ピエロを読もうとしている人にはネタバレになるので名前は出しませんが。
ああ、あれ!!!という。

今までは結構にわかりやすく、わからなかったのは重力ピエロに登場するオーデュボンの祈りの主人公ぐらいでしたが。
ああ、今回はなるほどなあ、と。
多分生粋の伊坂さんファンはすぐに気付いた箇所に入るだろうなあ。

でもわかったときの爽快感はたまらないです。


映画化しているということで。
本名覚えて無いのですが、あの、フラガールのお母様が出演とのことで。
一度見てみたいなあ・・・と、思いつつ。

野火でした。