変われるものなら
補修工事の足場が倒れて、卒園式帰りの園児2人にぶつかって、ひとりが重症、もうひとりは亡くなってしまった事件。
その亡くなってしまった男の子のお父様のインタビューが、目に焼きついた。
痛い、痛いって。かわいそうに、って。
目頭を押さえてた。
かわれるものならかわってやりたかったって。
一度も、瞳を上げないんだ。
少し俯いて。
目を、閉じたように。少なくとも、私に、その瞳が映ることはなくて。
突風で、倒れていいわけがない。
何が理由であれ、尊い命を奪っていい理由にはならない。
新品の、ランドセル。
折りたたまれて、まだタグが付いたばかりの、入学式の正装用の服。
紺のブレザーに、淡い水色のシャツ。
こんなにも子を想って。
こんなにも想われて。
ご冥福を、祈っていいものか。
それでも、今は痛みじゃないことに。
祈りを込めて。