ご無沙汰してます。
最近文芸部の締め切りとかでバタバタしてて全然更新なりませんでした。

実は今こそ試験週間の真っ最中で大変なはずなんですけどね。
やる気が。

でも溜めた課題やらないと進級アブナイんですけど、(冗談抜きで)もう何が残ってて何がやってるのかとか、今更出して受け取って貰えるのか怪しいのばっかりで。
ああ、もう一回二年はやだなあ・・・。
でも本当になりそう。
あーあ。

さて、そんな忙しい日々で更新出来ませんでしたが、ここ二週間・・・ちょっと?ぐらいの間にもスキマスキマで本を読みました。
スキマで勉強しろよ、って話なんですけど。

「オーデュボンの祈り」と「ラッシュライフ

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

買い溜めていた伊坂さんの文庫本をひとまず読みきりました。

「砂漠」とか「陽気なギャングが世界をまわす」とか「死神の精度」とか、探しても新潮文庫じゃないために見あたらない「アヒルと鴨のコインロッカー」とか、他にも読みたいのですが、お年玉とかほとんど文庫本につぎ込んだのでもうないです。図書室で探すべきか否か。

でも本当は本読んでる場合じゃない学年になるので、これでまた本から離れるのが正しいのかもしれない。

実はまだ日暮旅人シリーズがあるんだけど。


感想はと言いますと、先に読んだデビュー作の「オーデュボンの祈り」の方が個人的には好み。

ラッシュライフは黒澤さん出るとのことで読みましたが、う、うーん・・・。

個人の好みというか、罪の話をどこまで自分が受け入れることが出来るか、って感じでしたね。

それでいうと、やっぱり重力ピエロのものだ、と私は思ったりする。

ラッシュライフは、でも、やっぱりキャラクターが魅力的で。
話がバラバラに進んでいたのが、やがて交錯して、ジグソーパズルみたいにぴったり一致するのが、何ともいえなくて、たまらないですね。
個人的には、黒澤さんは勿論だけれど、ご友人佐々岡さん、そして今回のMVPは豊田さんな気がする。
最後が痛快でした。
リストラされた冴えない中年のおじさん、ってあたりがミソなのだと思います。

オーデュボンの祈りは、夢中で読んだ。
更新出来なかったけど、本当にあっという間で、スキマだったのにそれに全力投球して、家で読まずとも3日で読み終わりました。

心がスーっとする。

こっちは、ラッシュライフとはまたかわった魅力の登場人物たちだったけれど。
どの登場人物も素敵。
主人公は勿論だけれど、日比野も、その幼なじみの刑事さんも、反対のことしか言わない画家の園山さんも、郵便配達さんも、その奥さんも、みんなみんな、どこか変なのだけれど、素敵。
憎めない、っていうより、愛さずにはいられない、って言葉が近い気がする。

話すカカシ、優午の設定も素敵だし、オーデュボンの話を語り、自分の不自然な歩きこそ本来の歩みかもしれない、という田中さんも何とも言えない。
回想に出てくる、祖母もいい。

ああ、でも一番は詩を愛する桜だろうか。

MVP、って言えないというか、それを超えてしまうぐらい、私は桜が好きだ。
清々しい。

自然の中で、どれほど他のものをしいたげてまで生きる価値のある人間がいるか、という話には胸を突かれた気分だった。

花を育てることは、詩と似ている。

主人公との、その会話がとても好きだ。

きっと、これから先いくつ本を読んでも、桜の存在は、忘れえない気がする。

オーデュボンは、罪の意識、の話で言えば、重力ピエロに近くて、でもまたそれとは違うような、不思議な話だと思う。

それこそ、優午と、桜と、主人公の三角形みたいな気がする。

きっと重力ピエロは優午で、主人公はラッシュライフで、桜は言わずもがな、オーデュボン。

とても好きだ。


伊坂さんの作品は不思議だと思う。

罪が、罪ではないような、でも罪なような、曖昧な位置にあって、でも暗くない。苦くない。どちらかといえば、透明感がある。

ラッシュライフの豊田が構えるピストルも、オーデュボンの桜が構えるピストルも、重力ピエロの春が構えるジョーダンバットも。

武器、とは別な、もっと尊いものに思えるから、不思議だ。

所詮、私のまだまだ青い、子供っぽい感性でしか、ないけれど。