クレーの天使

忘れっぽい天使


くりかえすこと
くりかえしくりかえすこと
そこにあらわれてくるものにささえられ
きえさっていくものにいらだって
いきてきた

わすれっぽいてんしがともだち
かれはほほえみながらうらぎり

すぐそよかぜにまぎれてしまううたで
なぐさめる

ああ そうだったのかと
すべてがふにおちて
しんでゆくことができるだろうか

さわやかなあきらめのうちに
あるはれたあさ
ありたちはきぜわしくゆききし
かなたのうみでいるかどもははねる


久しぶりに、谷川俊太郎さんの「クレーの天使」を開いてみた。

やっぱり、この詩が好きだ、と相変わらず、思うのだけれど。

以前に感じたこととは違って。

現在を過去にしていく薄情な自分を、少しだけ許して貰えたような気分になった。


クレーの天使

クレーの天使