さよならHERO

明けない夜なんてない、だなんて、言えない。

だって、一生明けないんじゃないかって思うような、そんな不安な夜があるでしょう?

きっと、誰の心にも。

明けない夜はない、っていう言葉はきっと。

励ましの言葉じゃなくて、夜を乗り越えた人だけが知る、達成を現す言葉だから。

だから今は。

明けない夜を、どう乗り越えてゆこうか。

それだけを、考える時。


もう1年たった、と思うか、まだ1年たっただけ、と思うか、いつの間に1年たっったの、と思うか。

人それぞれだと思う。

過去じゃなくて、まだ現在としている人が居る。
震災から1年、じゃなくて、震災只中の1年、の人が居る。

まだ夜の暗闇の中を、進むことも出来ぬまま、どこへ行けばいいのかもわからないまま、立ちすくむ人だって。

きっと、きっと。そういう、外野の、想像でしかないけれど。

でも、それでも、夜の中に居る人が、頑張っている姿に。
思うところがあるのも本当で。

人の不幸に寄生するって。
人間はそういう生き物だっていう話もあるけど。
それだけじゃないって。
もっと温かいものがあるはずなんだって。

そう信じたい。

別に、そんな考えを呪って生きても、日々は過ごせるかもしれないけれど。

私は、そう信じて、馬鹿だって、痛い目をみるってあざ笑われながらでも、信じて生きていきたいんだ。



顔の知らない人との、ネットを通じての出会いは危険だと、軽薄だと、学校では教わった。
でも、そうじゃない、って、はてなに来て思って。
手紙には、メールは劣るよ、って。そんなんじゃ、伝わらないよ、って。
そんな話は嘘だ、って。

そう痛感した、去年の3月。

はてなで知り合った人達が、ううん、それ以外の人も。

みんなが、ネット上で、誰かを思う声が、飛び交って、交差してて。

その只中に居て。ああ、って思った。

伝わるよ。

伝わらないわけがないじゃんって。

軽薄で、危険なわけがないじゃん、って。

だって、こんなにも温かいのにって。

そう思って。

大丈夫ですか、って。

言われて、言って過ごした日々は。

絶対に、そんなネット上の、なんて言葉じゃ片付かない。

私には、私の思う、この温かさが、唯一の真実だって、思った。


どうしようもなく、好きだ。

この、はてなという場所が。


3月11日。

誰かが居なくなって。

でも、誰かは生きて居てくれた日。

ネットの繋がりでは、私が消えた時はわからないかも、と思って。

でも、だからふと、思うのだと思うと。

何と尊いものかと、思う。


1年間、生きて居てくれて、ありがとう。


そして。

多くの方の、ご冥福を祈って。

そして今、夜を乗り越えようとする人。
乗り越えた人もあるかもしれないね。

そういう人たちへの敬愛の念と。

1日も早く。

復興と、過去としてゆったりと思い返すことの出来る日々が来ることを願って。


     雨はまだ上がらない 今もどこかではずぶぬれの人が
     悲しみを乾かせる場所もみつけられぬまま

     だから今あの歌を歌う 高らかに声を上げ歌う
     あの雲の切れ間から笑うお月様に向け

     ご覧ほら少しずつ空が開けてく
     僕たちの声があの雲を動かしたわけじゃなくてもいいから

     信じたいちっぽけな奇跡 僕等にはあの歌がRC
     こんな日はあの人が愛を星に変えるのさ


先日、ふと思い出して聴いて。
震災のことを思った。

これは、コブクロ忌野清志郎さんが亡くなられた時に、書いた曲だったけれど。


誰かを想う気持ちは、どんな時でも同じなのかもしれないと。

そう思っていたいな、って。


思った。